公正証書

公正証書とは、公証人が当事者の合意のもとに作成する文書で公証役場で手続きを行います。
公正証書を作るメリットは、遺言書の場合は紛失や中身の書き換えがされないこと、契約書などの場合は強制執行の承諾の文言があれば、相手の財産を強制的に差し押さえができる点です。
利用する場合のケースとしては、遺言書の作成、契約書の作成、離婚協議書の作成等こちらも幅広いです。
遺言書の作成は「相続のお手続きについて」でご案内しましたので、今回は「契約書の作成」や「離婚協議書」についてご説明します。

もっと詳しくお知りになりたい方はブログで深い内容まで書いているので、ご参考にされて下さい。

 

契約書の作成

契約書を公正証書にする場合は金銭消費貸借契約書、不動産賃貸借契約書に使用されることが多いです。
公正証書にする理由としては証拠力と執行力があるからです。
公証人の立会いのもと内容を読み上げられるので、意思確認もしっかりとされています。
強制執行受諾文言付公正証書を作成すると、裁判を経ることなく強制執行手続きに入れます。
ただデメリットとして作成費用がかかりますので、何でも公正証書とはいきません。
ですので契約の有効要件となっている場合や、相手がきちんと支払うか心配な場合に利用するものだと思いますので、例をあげて説明していきます。

事業用定期借地権等(契約の有効要件)

借地借家法第二十三条に基づき、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合は公正証書によらなければいけません。
もともと借地権の存続期間は30年ですし、存続期間満了で契約の更新がない場合は建物の買取請求権があります。
借地借家法第二十三条第二項でそれらを適用しない場合、第三項で「公正証書によってしなければならない」と記載されてます。

任意後見契約(契約の有効要件)

任意後見契約に関する法律の第三条に「任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない」と記載されてます。
とても重要な契約ですので本人の意思をしっかり確認することと、契約の内容が法律に基づいた正確なものである必要があるので、豊富な知識や経験を持つ公証人が作成します。

保証意思宣明公正証書(契約の有効要件)

民法改正により、令和2年4月1日以降に締結される事業用融資の個人事業の保証について、保証人になる個人の意思確認をするため公正証書の作成が必要になりました。
こちらも民法第四六五条の六に記載されています。法人が保証をする場合や主債務者が個人である場合は適用されません。
注意点は公正証書は、保証契約締結の1か月以内に作成しなければいけません。

離婚協議書

協議離婚は双方の合意により成立します。
離婚直後に慰謝料等が一括で支払われるのならば問題ありませんが、長期分割になる場合は注意が必要です。
口約束の場合、始めのうちは取り決め通り支払われますが、時間が経つとともに支払いが滞るケースもよくあります。
未来にトラブルに発展しない様にあらかじめ証拠として、離婚協議書を作成します。
公正証書で「強制執行認諾約款付公正証書」を作成すると、裁判を経ることなく強制執行手続きが出来ます。
「強制執行認諾約款付公正証書」にするかどうかは、当事者の方の気持ちも重要になると思います。
離婚協議書で決めることは大きく2つあります。

 

親権・監護権・面接交渉権

「親権」は法定代理や財産管理の意味です。
「監護権」は子供を引き取り養育することです。
この2つを分けてしまうと後々面倒も増えてきて、例えば子供が高校生になり携帯を契約する際に「親権者」である方に同意を求めたりしなければいけないので、分けない方がお勧めです。
「面接交渉権」ですが、これは親でなく子の権利であることを忘れずに決定することが必要です。

養育費・財産分与・慰謝料

「養育費」ですが、これも子の権利になります。
注意点としては年齢により養育費は増額するのでしっかり計算し、再婚した場合はどうするか等もきちんと取り決める必要があります。
「財産分与」ですが、基本的には半分ずつになります。注意する点は車や住宅のローンがある場合、マイナス財産も半分になることです。

出来るだけ、無理のない協議書を作成致しますので何かあればご相談下さい。